「三角形が職場を救う」― 幸福と生産性を同時に高める「トリニティの理論」
はじめに ― 幸福と生産性は両立できるのか?
目次
私のメンターのUさんの推薦本です。「三角形の人間関係を持つと仕事効率が上がり、かつ幸せになれる」という本です、とのこと。
少々「??」を抱えつつ、読み始めました。

トリニティ組織: 人が幸せになり、生産性が上がる「三角形の法則」
矢野 和男 平岡さつき 著
多くの会社員にとって、「仕事の成果」と「働く幸せ」は別物と感じられがちです。「成果を出すには競争や厳しい管理が必要で、幸福はある意味犠牲になる」というのが従来の考え方でした。
しかし、矢野和男氏の著書『トリニティ組織』は、21年間・1兆件のビッグデータ分析をもとに、「幸福」と「生産性」が同時に高まる仕組みを明快に示しています。
その鍵が「三角形の法則」です。
V型と三角形 ― 形で変わる人間関係
三角形とは、3人全員が互いに知り合い、直接つながっている関係。
一方、V型はAさんとBさん、AさんとCさんは知り合いですが、BさんとCさんは知らない構造です。
職場を振り返ると、上司同士が連携せず部下が調整役になる、部署間で板挟みになる――こうしたV型は案外多く、情報の遅延や誤解、孤立感を生みます。
仮にSNSで1万人の知り合いがいても、そのほとんどがV型なら幸福度は上がりません。
逆に、100人の知り合いでも三角形が多ければ、信頼と安心が広がり、幸福感も高まります。
この説明はある意味、納得性がありました。
読者に興味のある内容をアップすれば、読者は増えます。
しかし、それはある意味人間関係ではなく「SNS関係」。そこには「幸せ」になる因子は少ないはずです。
三角形の強みを現場感覚で理解する
三角形の魅力は机上の空論ではありません。情報が速く正確に伝わり、第三者の存在で信頼が補強され、孤立が減ります。
私自身、かつて少人数で密に連携するプロジェクトに参加したことがあります。
そのときは進行のスピードも質も格段に向上し、心理的にも充実していました。仲が良かったからではなく、構造が三角形だったからこそ、自然に支え合いと学び合いが生まれていたのです。 逆に、少人数だからこそ、お互いが理解し、短時間で様々なことを処理して成果を出すことを求められた時間だったので、関係性が「超三角形」だったことを思い出します。
職場で三角形を増やすシンプルな方法
三角形づくりは難しくありません。
1対1で会う予定に、もう一人誘ってみる。それだけで一つの三角形ができます。
さらに、部署や役職を越えた三者顔合わせも効果的です。
営業・技術・企画の3者で会話するだけでも、情報の壁は低くなります。会議やランチも「三人セット」を意識すれば、関係性は自然と三角形に近づきます。
ちょっとした工夫(あと一人参加者を増やす)ことが三角形を作ります。
しかし、今は経費削減などで出張は最少人数(一人)が多いです。
短期的には経費削減の効果はあるでしょう。しかし長期的には、仕事の成果と社員の幸せは「薄く」なっていくのでしょうか・・・
仕事だけじゃない、日常生活への応用
三角形の法則はプライベートにも応用可能です。
友人と二人で会う時にもう一人誘えば、その後のつながりが広がります。
地域活動やサークルでも、孤立しがちな人を二人に紹介して三角形を作れば、交流が活発になります。
「GDPからGDTへ」― 幸福と貢献を測る時代へ
本書では、経済の物差しを「GDP」から「GDT(幸福感と貢献度の指標)」へ切り替える提案も紹介されています。
生成AI時代には、単なる作業効率よりも、人間同士の信頼と創造性が競争力の源泉となります。
その基盤こそが三角形の関係性です。
まとめ ― 今日からできる三角形づくり
三角形の法則は、理論としても実践としてもシンプルです。
今日からできるのは、1対1の予定にもう一人加えること。
その小さな変化が、職場の生産性と幸福感を同時に高め、あなたの人間関係をより豊かにしてくれるはずです。

