言葉の裏にあるものが、人を動かす― 野村克也『言葉一つで、人は変わる』を読んで

野村克也監督を単なる「プロ野球の監督」ではなく、「組織再生の経営者(CEO)」として捉える視点は、非常に鋭いです。

野村監督が率いた当時の南海・ヤクルト・阪神・楽天は、いずれも「万年Bクラス」や「お荷物球団」と呼ばれた組織でした。そこから優勝やAクラス常連へと導いたプロセスは、まさに「事業再生」そのものです。

そこで、「経営者視点で野村氏の言葉を読むと、いろいろはヒントがもらえるのでは」と思い、この本を読みました。

『言葉一つで、人は変わる 夢をつかむ「言葉の力」』 野村克也 著(詩想社新書)

言葉よりも先に、伝わっているもの

『言葉一つで、人は変わる』を読んで、強く感じたのは、人を動かすのは言葉そのものではなく、言葉の裏にあるものだという点です。

どれほど立派な言葉や正論を語っても、そこに語り手自身の覚悟や誠実さがなければ、相手の心には届きません。
言葉は発せられた瞬間に、その人の姿勢や本心までも同時に伝えてしまうものなのです。

部下のための一言(行動)なのか? 
自分の保身や成果を上げるためだけの言葉なのか?

一緒に働いている部下にすれば、上司の言葉を肌で感じられ、真意はわかります(ばれます)。

愛情のない正論は、人を動かさない

野村監督が繰り返し語るのは、指導の根底に相手への愛情がなければ意味がないということです。

何とかして成長させたい、力を引き出したいという思いがなければ、どんな正論も相手には響きません。

管理職の言葉も同じで、部下はその言葉が自分のためのものかどうかを敏感に感じ取っています。

進歩とは変わること、鈍感さが成長を止める

進歩とは変わることです。
同じ行動、同じ思考を続けていれば、結果もまた同じに終わります。

人は日常に慣れ、変化に対する感度を失っていきます。
その鈍感さこそが、成長を止める最大の要因なのだと感じました。

管理職自身が変化を恐れず、学び続ける姿勢を持つことが、組織全体の進歩につながります。

「一生懸命にやっています」と部下は言いますが、なぜか成果が上がらないことがあります。
その時に「部下に変化することを具体的に指示し、それをサポートし続けること」が、真の部下の進歩につながるもの、と感じます。

努力と失敗が人を育てる理由

努力は裏切らない。しかしそれは、考え抜かれた努力であった場合に限られます。
意味を考えずに繰り返す行動は、単なる作業であり、成長には結びつきません。

失敗を言い訳で終わらせず、なぜそうなったのかを考えさせることが、人を育てることにつながります。

著書には「感じる」⇒「考える」⇒「行動する」と書かれていました。

まずは感じること。失敗した事実を「感じ」、どうすれば成功するかを「考える」というプロセスがないと、失敗に目をそらし、過去と同じ努力をすることになります。これでは進化は実現しません。

いかに「感じる」感性を持つことが大切かを『感じました』。

人は「教えられて」ではなく「問いによって」伸びる

野村監督が重視したのは、答えを与えることではなく問いを投げかけることでした。
なぜそうしたのか、その判断の根拠は何か。

問いかけられることで、人は初めて自分の頭で考え始めます。
考えた経験は、自分の言葉となり、自分の行動を支える力になります。

管理職がすべきことは、正解を示すことではなく、考えるきっかけをつくることです。

ある年齢になると、部下に「教える・教えたい」という気持ちが生まれます。それは、部下に対して自分の優位性を示したい、私はあなたよりも何年も貴重は体験をしている、という思いから出てくるものです。

しかし「教えてもらいたい」と思わない相手に、こちらがいくら教えても身に付くことはありません。

だから、まずは相手の「問い」に耳を傾け、相手がなにを得たいのか? を知らない限り、相手の望むものは渡せません。

管理職に求められる「問いを持つ姿勢」

管理職が問いを持たずに指示だけを出せば、部下は考えることをやめ、成長の機会を失ってしまいます。

「私はこう思うが、君はどう思うか」
この一言が、部下の主体性を守り、伸ばします。

言葉で人を動かしたい管理職ほど、まず自分自身が問いを持ち続けているかが問われているように感じます。

「君はどう思うか」は魔法の質問だと思います。

このブログを読んで、『あなたはどう感じ・思いますか?』

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