インドで最強・最愛の神様「ハヌマーン神」とは? 〜ハヌマーン神に学ぶ生き方のヒント〜

はじめに

私は会社の駐在員として合計7年弱、インドで暮らしました。

インドは個人の宗教色が強く、皆さん「好みの神様」を持っており、会社PC画面の待ち受けは、それぞれ「好みの神様」です。

社員が会社に来て、PCを開けてスイッチオンにすると、画面に好みの神様が現れます。
その神様にお祈りをして、一日が始まります。

また、「好みの神様」は、特定の曜日を持っています。
そして会社に出社する前に、「好みの神様」が祭られているお寺にお祈りをしてから会社に向かいます。

ですから、社員は特定の曜日に朝遅刻する傾向があります。
「○○寺で参拝したら、交通渋滞で遅刻しました」と胸を張って遅刻理由を説明します。

それって許されるのか? とインド人総務部長に文句を言ったら、「谷口さん、神様は大事ですから…」と納得できない理由で説明されて、怒りを抑えた記憶があります。

そんな私でしたが、ある時に会社主催の地域貢献イベントで、『ラーマーヤナ』(劇)が開催されたのを観に行きました。

その際に、主人公の神ラーマ王子を助ける「猿のハヌマーン神」がカッコ良く、それからインド友人にいろいろと聞いて、ラーマーヤナを読み、ハヌマーン寺院への参拝が始まりました。

そして先ほど、インド友人から「今日はハヌマーン・ジャヤンティ(誕生日)!」とのメッセージをもらい、このブログを書いています。

インドでは今、ハヌマーン・ジャヤンティ

インドでは4月に、ヒンドゥー教の特別な日「ハヌマーン・ジャヤンティ」が祝われています。
これは、最強の神様・ハヌマーン神の誕生日。インド各地の寺院や家庭で、人々はこの日を大切に過ごします。

2025年のハヌマーン・ジャヤンティ(Hanuman Jayanti)は、4月12日(土)に祝われます。​

この日はヒンドゥー教の神であるハヌマーン神の誕生日を祝う祭日で、ヒンドゥー暦のチャイトラ月の満月(プールニマ)にあたります。​2025年のプールニマ・ティティ(満月期)は、4月12日午前3時21分に始まり、4月13日午前5時51分に終了します。

日本で言えば、お正月や七夕に近い感覚。多くの人が祈りやお祭りに参加し、心を清める一日です。

ハヌマーン神ってどんな神様?

ハヌマーン神は、猿の姿をしたヒンドゥー教の神様。
インドの古代物語『ラーマーヤナ』に登場する英雄で、最強の戦士・賢者・忠臣として知られています。

インドでは子どもたちのヒーローでもあり、大人たちの人生の模範でもあります。
筋肉隆々の像や、力強いポーズのイラストが人気で、寺院や街中でその姿をよく見かけます。

ハヌマーン神の「3つのすごい力」

① 圧倒的なパワー
山を持ち上げ、空を飛び、敵をなぎ倒す。その力はまさに超人。だからこそ、健康・勝負運・災難除けの神様として厚い信仰を集めています。

② 揺るぎない忠誠心と献身
ハヌマーン神は、主人であるラーマ王子に一生を捧げます。どんな困難でも、決して裏切らないその姿に、インド人は心を打たれるのです。

③ 知恵と謙虚さ
強いだけでなく賢く、そしてとても謙虚。力を自慢することはなく、常に「人のために力を使う」ことを誇りとしています。

日本人にも響くハヌマーン神の生き方

このハヌマーン神の生き方は、日本人にもとても馴染みやすい価値観です。

・人のために尽くす「利他の心」
・困難に挑み、あきらめない「挑戦心」
・謙虚に学び続ける「成長意欲」

これらは日本の文化や美徳にも通じるもの。
ハヌマーン神の姿は、時代や国を超えて、今の私たちにも大きなヒントを与えてくれます。

ハヌマーン・ジャヤンティの過ごし方

インドではこの日、多くの人が寺院に参拝し、断食を行い、ハヌマーン神の詩や物語を読み上げます。
夜には街を練り歩く行列やお祭りも行われ、子どもたちはプレゼントやお菓子をもらったりもします。

ビジネスパーソンや学生は、健康・成功・勝負運を願って祈りを捧げる人も多いそうです。

いま日本人に届けたいメッセージ

私たち日本人がこれからの時代を生きていく上で、ハヌマーン神から学べることはたくさんあります。

・自分の強みを磨くこと
・人の役に立つために力を使うこと
・困難に立ち向かうこと
・謙虚に学び続けること

ハヌマーン神は「最強で最も謙虚な神様」です。
誰かのために動き、困難を乗り越え、人と共に生きる。
その姿は、これからの時代を生きる私たちにとって、大きな力になるはずです。

ハヌマーン神の生き方は、決して「滅私奉公」ではありません。

ハヌマーン神は心から尊敬する人(ここでは神様ですが)に対して、その信条・価値観・生き様を理解して、そのうえで「この人に一生を捧げる」と決心しました。 信頼で結ばれた関係性は永遠に継続されることを学びます。

おわりに

インドには「多様性」と「人の強さ」を教えてくれる文化がたくさんあります。
ハヌマーン・ジャヤンティは、その象徴の一つ。
ぜひこの機会に、インドの神様ハヌマーンに心を寄せてみてください。

きっと、あなたの中にも新しい強さと優しさが生まれるはずです。

追記:

ハヌマーン神の曜日は火曜日です。
火曜日の朝は「ハヌマーン・チャリッサ」(ハヌマーン神を讃える聖なる詩)を唱えます。

具体的には
・ヒンドゥー教の聖者「トゥルシーダース(Tulsidas)」が16世紀に作った詩
 ・全40節(Chalisa=40の意味)で構成されている
 ・サンスクリット語ではなくヒンディー語ベースなので庶民にも広まった

現在でもインド全土で毎日のように唱えられている、超有名な祈りの言葉です。
ご興味がある方は、このYoutubeをご覧ください。
8.4億回視聴されています。

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