パワハラの訴えが怖くて上司を辞めますか?
2019年9月4日 VOL.65
先日、ある若手社員Aさんからパワハラについて聞きました。
先日部長職の方が、パワハラ理由で一般職に降格になった・・との事。
Aさん曰く、その部長さんは仕事ができる方だったそうですが、部下への指導が厳しすぎてパワハラ認定されたそうです。
いまリーダー・経営者は、ハラスメントに怯えながら日々業務をしてます。
今日のテーマは「パワハラ対応はどうすべきか?」です
多様化人財対応の専門家 谷口彰です。
リーダー・経営者の方には窮屈な環境になりつつあります。
○○ハラスメント。セクハラ、パワハラ、モラハラ、
ハラスメントという言葉の定義を正確に理解していますか?(今回はパラハラに限定します)
私の経験では、パワハラを正しく理解し、部下との適切なコミュニケーションをとれば、恐れることはない、というのが結論です。
パワハラとは?
パワハラの定義は、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
パワーハラスメントは、上司から部下が対象と思われがちですが、実際には他の関係でもパワハラが起きています。
・先輩から後輩に対して
・同僚の間でも発生します。
・部下の方が、上司よりも専門知識やスキルに優れていると、部下から上司へのパワハラも起こります。
・正社員から、契約・派遣社員・パート・アルバイトなどの非正規労働者に対してのパワハラもあります。
・取引先の社員との間で発生するケースもあります。
組織では、職位、経験年数、業務知識、など・・何かにつけて「優位性を持つ強者と弱者」が存在します。
その強者が弱者にたいする態度が不適切であれば、誰でも、パワハラの加害者・被害者になる可能性があることが、パワハラの理解で注意すべき点です。
パワハラの6定義とは?
下記の6つが代表的はパワハラです。しかしこれだけがパワハラではないので要注意です。
① 身体的な攻撃(身体的に暴行・傷害などを加える)
② 精神的な攻撃(言葉で、脅し・侮辱などをする)
③ 人間関係からの切り離し(職場を隔離する・部内メーリングリストからの除外・無視する)
④ 過大な要求(業務上明らかに不要なこと・就業時間終了間際に過大な業務の強制)
⑤ 過小な要求(業務上の合理性なく、草取り、終日コピーする、など過去の能力・経験と関係の薄い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
⑥ 個の侵害(家庭・友人・恋愛関係など私的なことに過度に立ち入ること)
これらの6定義からすると、かなりひどい上司ですね。でもこれが現実なので、(代表的な)パワハラ6定義となっているので、職場のどこかでは、日々このようなパワハラが起きているのでしょうね・・
リーダー・経営者の方への質問ですが、実際皆さんは職場でパワハラをやっていますか?
まさか! 私はしていません、という答えがほぼ100%だと思います。でも皆さんは思っているでしょうが、実は自分では気づいていないだけで、周囲からは「あれパワハラ!」と思われていることがあります。
つまり、職場内での優位性は自分ではなかなか理解が出来ていない(当たり前の世界)ケースがあります。
なぜなら職場では「優位性を持つ強者と弱者」が存在しますので、リーダー・経営者のように職位の優位性を持つ方々は、パワハラをしやすい立場にある、という事の再認識が必用です。
それってパワハラですか?
これは私の体験ですが、ある女性社員(途中入社後1か月頃)に面談をしました。周囲から仕事が遅いので注意してもらいたい、とのことでした。
会議室に来てもらい、1か月間の仕事に対する困りごと、お願い事項などを聴きましたが、特に何もなく、「周囲の人に助けてもらいながら一生懸命やってます!」とのことでした。
私から、一生懸命やっていることは認めますれど、全体のペースに比べると少し習熟が遅れているようだから、今後は習熟を深めて、仕事のペースを速めてください、とお願いしました。
すると彼女は「それってパワハラですよね!」と言ったので、「どこがパワハラだと思いましたか? もしそう思わせたであれば訂正をします。どこでしょう?」
「仕事が遅いって傷つきました。パワハラです。」
そこで私はノートに貼ってある「パワハラ6定義」を見せながら(これが大切です!)
「私がお願いしたことは、仕事を始めて1か月経過の面談として、仕事に慣れつつあるが、周囲の仕事のペースに比べると少し遅いので、早く周囲のペースに追いついてください」ですね。
「私は面談中に、何ら身体的に危害を加えていないし、言葉で脅してもない、職場を切り離すこともしていないし、過度な要求ではなく、他の社員と同様のスピードで処理してもらいたい、という通常のおねがいであり、それは過小の要求でもなく、個に対する過剰な立ち入りだとは思いませんが、まだパワハラだとおもいますか?」と(私としては、極力落ち着いて・冷静に・事実と思われることを)説明しました。
その後、彼女は「わかりました」と一言残し会議室を出ました。何がわかったのか? 不明ですが、面談は終わりました。
その後、直ちに総務のセクハラ担当者に、もしかしたら彼女からパワハラの訴えがあるかもしれないが、その事前として説明をしました。
総務課からは、(話を聞く限り・という条件付きですが)パワハラではないですね、との意見をもらいました。
総務担当者曰く、相手がどこにパワハラと感じたか?がポイントとなるので、もし訴えがあれば、その点を明確にしましょう・・とのことでした。
その後訴えはなく、彼女の仕事のペースも早まり、組織の一員としてしっかりと対応してもらっています。
つまり、リーダー・経営者の方が、パワハラ(ハラスメント)とは何か? を理解し、相手から「パワハラ(ハラスメント)です!」と言われたら、その場でなにをパワハラと感じたのか?を明確にし、もし「言い過ぎたな」と思ったらその場で訂正し、それを総務に連絡するという対応が必要です。
もし相手がパワハラではなかった、と言ったとしても、後日気が変わることもあるので、総務は情報共有化することは大切です。
ただ、彼女とは入社面談以降、ゆっくりと話す時間がなく(これ、私の言い訳です)まだ彼女自身を理解していない段階で、仕事が遅い、と言ったことは、明らかにコミュニケーション不足だったことを大きく反省しました。
最後に
ハラスメントは社会の問題となっていますが、十分にハラスメントとは何か?を双方理解していないケースがありますので、まずは十分な理解をする。
そして、(私は不足でしたが)日々コミュニケーションを取り、何が部下の価値観・怒りのポイントなのか?などを十分に理解して、業務上の指示をする。
また総務のセクハラ担当者とは、(ケースによりますが)小さなことでも情報共有化することが、問題を大きくしないポイントだと思います。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございます。
良い一日でありますように!