インドの誕生日文化を知る ~大人と赤ちゃん、それぞれの特別な一日~
はじめに
先日、特定技能(自動車整備)で来日しているインド人スタッフから電話があり、「誕生日をするので部屋に来てください」とのこと。
インドでは『誕生日を迎える本人が、誕生会を主催する』風習があります。
インドの会社での誕生日
以前、インドの会社にいた頃。
朝礼で「今日は私の誕生日です。昼食後は食堂横のショップのアイスクリームを楽しんでください」という連絡は当たり前にありました。
最初は、「なぜ朝礼で自分の誕生日をPRするのか?」と大きな疑問がありましたが、実際に一日過ごすと、インド式誕生日が理解できます。
どんなシステムか?といいますと…
昼食の時間に、食堂にあるアイスクリームコーナーに誕生日の本人が立っています。
そこに友人が来て「誕生日おめでとう! 神のご加護がありますように」と伝え、好きなアイスクリームを食べます。
そして、昼食の時間の終了時に、多くのスタッフが食べたアイスクリームの代金をすべて本人がお店にまとめて支払う、というシステムです。 このアイスクリームはだれでも食べられます。
当時上司であった私も、彼からアイスクリームをもらいました。
今回の誕生日
さて、今回は自宅の部屋での誕生日です。
久々のインド式の誕生日なので楽しみでしたが、直前に電話がかかってきました。
「さっき『ヤオコースーパー』に行きましたが、ホールのケーキが無かったです。谷口さんが買ってきてください」と緊急連絡ありました。
えっ? やはり…そこで、地元のケーキ屋さんで4号の小型イチゴケーキを買っていきました。
そんな例外的に私がケーキを買って届けた、インド人主催のインド風誕生日でした。
もう一つ、以前インドでとても驚いた『生後6か月の新生児誕生日祝』について説明します。
生後6か月祝の目的
生後6か月祝は、赤ちゃんにとって初めての「日常食」を経験する貴重な節目です。
この行事によって、子どもの健康な成長を祝福し、あわせて、社会との絆を初めて従う第一歩を踏み出す意味も含まれています。
新生児の誕生日とはいえ、集会場を借りて、近所の人、会社の同僚、取引先の方々を呼ぶので、一見結婚式会場のように見えます。
でも、壇上の中心に居るのは、新生児を抱いたお母さんとそれをサポートする女性陣です。
お招きいただいた我々は、順番に壇上に登り、交互で新生児赤ちゃんを抱きます。
新生児を抱っこする際、「この子は首が据わっているのか?」などと考えていたのですが、赤ちゃんはべニア板の上に寝かせられ、それをシーツ(のような布)でぐるぐる巻きにされていました。
ですから、べニア板(の上の新生児赤ちゃん)は次々の招待者に渡されていきます。
もちろん、招待者毎にカメラマンが写真を撮ります。
その間ずっと招待者の横に立ち続けるお母さんは、とても辛そうに見えました。
この会を主催した友人に「6か月目の招待客を招く誕生日は、奥さんの体調を考えると、1歳の誕生日にしたらいいのでは?」と言うと、「心配しないで、1歳の誕生日にも招待するから!」 と私の質問をスルー。
奥さんの体調よりも、多くの人を招待して人間関係を維持するのが大事、という考え方です。
おわりに
インドでは、(一般的には)未だ男尊女卑が残っていますが、この新生児6か月の会は、それを強く感じる会でした。
大人も子どもも、インドの誕生日は日本式とは違って、異文化を感じた時間でした。