年配社員は「暗黙知」を武器にモチベーションを高めよ!
銀行で人事系業務をされているFさんから興味深いキーワードをいただきました。
【Googleが教えてくれない暗黙知の活用】
どの企業でも、定年延長となり、50歳代以降の働き方が注目され、同時に大きな課題となっています。
ネット検索では、「年配社員」とキーワード検索すると・・ 対処方法、使えない、モチベーション低下、やる気ない ・・などと少々否定的な言葉が並びます。
Fさん曰く、「だからこそ、年配社員を元気づける暗黙知の活用が重要です」との事!
50歳代は苦難の時代
私が新入社員の頃(といってもかなり昔の昭和58年:1983年)、50歳社員といえば、全員役職者で知見を持ち、ちょっと上から目線だけど、なんでも知っていて教えてくれる、という印象です。
ですから、いかに先輩から情報(ノウハウ)を聞き取り、自分の業務へ反映するか(もちろん成績アップの為ですが)が日々考えていたことです。
組織がきれいな人口ピラミッドを保ち、且つ右肩上がりの経済成長時期だったので、役職者は特に必死に情報収集して戦略を練り且つ業務を持つという現在のプレイイングマネージャーに比べると、かなり時間的余裕を持っていました。
だからこそ、私のような若手(当時は若造といわれていましたが)にも時間を割いて、色々なノウハウを教えてもらう時間があったのでしょう。
しかし、今の50歳代は、(一般的には)55歳で役職定年、そして60歳定年(労働法的には定年は65歳(頃)まで延長となりましたが、社内身分としては、再雇用・シニア職に変更になるケースが多いです)。
つまり、現在が50歳だとして、あと最低15年間は雇用の機会はありますが、社内身分、特に役職名が変わり、権益(人物金の管理)を失うことになり、更には(大好きな)会議への出席回数は激減します。
そして、その中途半端な制度(これは個人的印象です・・)により、年配社員(役職定年後から退職までの期間)はモチベーションが下がり、社内の組織から取り残されたような気持ちになります。
これが、前述の「年配社員」を検索すると「対処方法、使えない、モチベーション低下、やる気ない」のキーワードがセットとなる現象となっています。
年配社員(役職定年、退職後シニア社員)の暗黙知
では、年配社員は問題社員なのでしょうか?
私は、NOと言いたいです。
過去30年以上も仕事で培った、専門分野のノウハウ、知見、があります。
これらは個人にとっても会社にとっても素晴らしい知恵袋ですが、それが活用されていないことが問題だと思います。
では、なぜ年配社員のノウハウ、知見が活用されていないのか?
2つの理由が考えられます。
1つ目:年配者自身が、長年培ったノウハウ、知見を「ただの知識」と思い込んでいることです。
つまり、個人が持っている知識=専門性の高いノウハウと知見、ではなく、「ただの知識」と思っていることに問題の根源があります。
自分のことは自分が一番知らない、というあるあるです。ですから、年配社員がまず最初に行うことは、「自分は何が得意なのか?」です。
2つ目:たとえ自分の専門性がわかったとしても、それを若手社員に伝える効果的な方法を知らない、ということも大きな課題としてあります。
つまり、知らない。
知っていても伝えられない。
という状況です。
では、どうやって年配社員は自分の専門性を知るのか? ですが、これは周囲の方からのアドバイス、フィードバックをお願いすることが一番確実です。
では、どうやって?
一番確実な方法(私の体験談ですが)は、いつも仕事を一緒にしている(親しい)人に質問しましょう。
・私の強み、特技ってなに?
私は友人から、
・業務フローの作成が速く、わかりやすい
(過去にシステムプロジェクトに参加したので、その際のフロー図作成が役立っている)
・テーマに対してやるべきこと(方向性)を見つけて、チーム対応することができる
(プロジェクトで課題対応の方法を体験したことが役立っている)
・在庫管理の理論を容易に説明できる
(20歳代は在庫管理に悩まされ、在庫の関する資料を読み漁りました)
などなど、私には普通の知識・体験でも、周囲のメンバーからすると得意分野と指摘され、自分では驚いた経験があります。
まさに、自分は知らない得意分野が見つかりました。
その際に、なぜこれが得意分野なのだろうか? について、過去の体験・経験を振り返ると必ず理由が見つかります。その理由を解きほぐして、「昔はどうやって学んだのか?」がわかれば、自分の知識(暗黙知)を文章化(形式知)に書き換えることができます。
私のお勧めですが、役職定年、退職後のシニア期間を充実して過ごすには、この「自分の得意分野を理解する」機会をもって、自己理解することが重要です。
Googleが教えてくれない暗黙知の活用
年配社員は暗黙知ライブラリー(中身は形式知)を作るべきです。
ライブラリーといっても大袈裟なものではなく、まずはメモ程度から始めましょう。
あるテーマの内容を最初から深めるのではなく、多くのテーマについて少しずつ文章化を進めます。
途中で、誰か(最初は親しい人)に内容を見てもらい、第三者視点として、どんな内容が追記されるとよりわかりやすいか? を明確にすることです。
何度も書きますが、この形式知化は、若手社員のための文章化なので、自分が知っていること・書きたい事を羅列するのではなく、そのテーマを知りたい人は、
何がわからずに何を知りたいのか?
を明確にする必要があります。ですから、第三者の意見・視点が重要となります。
録画マニュアル・Eラーニングの活用
せっかく作成した文章(形式知)がより多くの若手社員に伝わり、ノウハウの伝承となるには、多くの人の目に触れる必要があります。
その一つの対応として、形式知の動画化です。
動画? と多くの方は尻込みするかもしれませんが、簡単に作成できます。
私は、研修資料を極力動画化して、それを研修前に配布し、それを事前に見てもらう方式(反転方式)を使っています。
では、その動画はどう作成するのか? ですが、
Zoomの一人語り法式です。
Zoomの録画機能を使って、資料を画面に共有化し、そこで自分が一人で話し、それを録音します。
それだけで、Zoom機能でMP4形式の動画が作成され、そのデータ容量を軽くするのであれば、YoutubeスタジオにてYoutube化することで、URLのみを伝えるだけで、誰でもどこからでも動画を見ることができます。
ここでは詳細の説明はしませんが、ネット検索をしていただければ、Zoom録画の活用が簡単な録画作成方法として紹介されています。
何歳になっても、自分の過去を正しく振り返りその知見を伝えることは、自分の過去を正しく理解し、伝えるべきことを明確化し、それをきちんと伝えるという簡単なことですが、それを実行することで、会社内でちょっと寂しい想いをしている(かもしれない)年配社員は、充実した日々を過ごせるようになります。
何事もチャレンジです。いつまでもチャンレジし続けましょう。