しぶとく生き抜く!『静かな退職という働き方』で見つけるサラリーマンの強み

静かな退職という働き方
海老原嗣生 著
PHP新書

土曜日朝の勉強会で、人事研修企画をされているSさんから紹介された本です。

がむしゃらに頑張る社員が減る半面、ワークライフバランスを重視する社員が増えているそうです。

それは、「静かな退職という生き方」という、会社は辞めずに働き続けるが、昇格(出世)をのために「ガムシャラ」に働くことをしない生き方。 このような社員とどう対峙するか? 

はじめに

サラリーマンとして仕事を始めると、数年でキャリアにおいて重要な局面を迎えます。
昇進を目指すべきか、それとも自分のペースで働き続けるべきか、選択に迷うことが多くなります。

特に、昇進を目指し続けることで、隠れて仕事を自宅に持ち帰ったり、終日疲れを感じたり、職場環境に違和感を覚えたりすることもあります。

その中で「静かな退職」という新しい働き方に注目が集まっています。

「静かな退職」は、本当に会社を退職する、ということを選ぶのではなく、仕事に対する姿勢を見直し、自分のペースで職場に「貢献」し続けるという生き方を指します。

これは、退職することなく、組織にしがみつくのでもなく、しかし無理に昇進を目指すわけでもなく、自分の得意分野を武器にして静かにキャリアを築く働き方です。

そこには滅私奉公という言葉はありません。自分のLife重視のスタイルです。 しかし、そこにはやる気をなくし、なげやりな態度はありません。きちんと自分の領域の仕事はしますが、それ以上はしない、という働き方です。

静かな退職とは?

「静かな退職」とは、職場での昇進や活躍を目指し続けるのではなく、仕事を最低限にこなしながらも、自分の強みを活かして生き抜く働き方です。

これは退職を選ばず、職場にしがみつくわけでもありませんが、仕事を避けるのではなく、自分の専門性を活かして戦略的に働き続ける方法です。

職場の「こまったちゃん:どう扱ってよいのか困る社員」ではありません。

具体的には、毎日の業務をこなす中で、自分が得意な分野を作り、その分野で存在感を示していくことが「静かな退職」の要点です。自分の得意分野をしっかりと築くことで、安定したポジションを保ちながら無駄なエネルギーを避けることができるのです。

本では、得意分野をピンポイントで作り続ける方法が書かれており、大変参考になりました。

自分の得意分野を武器にする

静かな退職を実現するためには、まず自分の得意分野を見つけ、それを活かすことが重要です。
自分が何を得意としているのか、それをどのように職場に活かすことができるのかを見極めることが、今後のキャリアをしぶとく生き抜くための大切なステップです。

好きな仕事、時間を忘れる仕事は、自分の得意分野に(きっと?)違いありません。
趣味のように楽しめる仕事が見つかると、それは静かな退職の実行にとても役立ちます。

ですから、仕事を始めて短期間で静かな退職を目指すのではなく、まずは種々な仕事を担当し、そこから得意を見つけることが大切な最初のステップです。

仕事における戦略的アプローチ

しぶとく生き抜くためには、仕事を避けるのではなく、仕事をこなしながらも自分の立場を築くことが重要です。
組織内で自分の強みを活かし、存在感を確立することが、静かな退職を実現するための戦略となります。

「この仕事は任せてください」と(得意分野の業務には)積極的な対応をし、それ以外(得意分野以外)は「今仕掛かりが多くて、対応までに数日かかりますがよろしいでしょうか?」 などと「みかけ積極的な断り」も大事になっていきます。

また、職場での人間関係は適切な距離感を保つことも大切です。過度に関わりすぎず、適切な距離を置くことで、ストレスを減らしながら、安定した仕事環境を保つことができます。

欧米と日本のマネジメントシステムの違い

欧米の企業では、専門的なスキルや教育を受けた限られた人材が昇進するシステムが一般的です。
特定の分野に特化した専門知識を持つ人々がリーダーシップを取ることが求められます。

逆に限られた人材以外の人は、昇格などは対象外であることが明確なので、業務スタッフとして働きます。

しかし、成績が悪ければ業績悪化時のリストラ対象になる可能性があります。「ガムシャラ」はやりませんが、自分の得意分野を明確にし、その分野での成果で中位から上の評価をもらいつつ、自分の生活を大切にする、という働き方です。

一方、日本の企業では、大卒全員が幹部候補生と見なされ、長期間にわたって昇進していく年功序列のシステムが主流です。

ですから、全員が「ガムシャラ」を目指します。しかし途中から挫折する人が生まれ、最後は同期で役員が一人、部長が数人となり、その他のメンバーはモチベーションが下がった状況が続きます。

気持ちとしては、「ああ、昇格できなかったな・・」です。

欧米は逆に、昇格はしないが(出来ないが)生活のために、きちんと自分の領域(得意分野)を守りつつ業務推進するので、ネガティブな気持ちがあまりなく日々を過ごせます。

この二つの感情(昇格できなかったという無念感VSこの領域を守り生活していく)は、どちらの方が生産性は高いのでしょうか?

現状の日本企業のシステム改革と今後の展望

現在、日本企業では年功序列制度を見直す動きが進んでいます。
欧米型の昇進システムや人材育成を導入することが求められる中で、企業はどのように変化していくべきかを検討しています。

従業員一人ひとりが専門性を高め、リーダーシップを発揮できる環境を整えることが、今後の成長には欠かせません。

しかし、システム改革は簡単ではなく、企業文化の変化には時間がかかります。
それでも、従業員と経営者が現状を見直し、適応していくことが今後の成功に繋がります。

人事制度をかなり割り切った制度に切り替える必要がありますが、リスクを避け、長期的な視点の傾向が強い日本企業のマネジメントはどこまで舵をきれるでしょうか?

 静かな退職の実践方法

「静かな退職」とは、退職を選ぶのではなく、自分の強みを活かして生き抜く方法です。

自分の得意分野を見つけ、職場で存在感を発揮しながら、無駄にエネルギーを使うことなく、しぶとくサラリーマンとして生きていく。これが現代のサラリーマンに求められる生き方だと言えます。

また、欧米と日本の昇進システムの違いや、人材育成の課題についても見直すべき時期に来ており、今後はより柔軟で個々の専門性を重視した働き方が求められるでしょう。

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