Z世代に「ちゃんとして」が通じない理由 ――『組織の違和感』から考える、これからの管理職の関わり方

組織の違和感は「悪者探し」ではない

あるシステム会社で人事研修を担当している方から、『組織の違和感』という本を勧められました。


組織の違和感  結局、リーダーは何を変えればいいのか?  勅使川原 真衣 著

読んで印象に残ったのは、組織を変えるとは、単純に「人を入れ替えること」ではないという点です。
大切なのは、一人ひとりの持ち味を明確にし、その組み合わせを考えることだと書かれていました。

組織には、必ず違和感が存在します。

「なぜ、あの若手は報告しないのか」
「なぜ、指示した通りに動かないのか」
「なぜ、もっと主体的に考えないのか」

Z世代対応に苦慮する管理職ほど、こうした違和感を日々覚えているのではないでしょうか。

しかし、その違和感を「相手が悪い」と処理してしまうと、関係はそこで止まります。
違和感は、相手を裁く材料ではなく、相手を探求する入口なのです。

人はそれぞれ違うメガネをかけている

本書では、人はそれぞれ違う「解釈パターン」を持っていると説明されています。
つまり、同じ出来事を見ても、受け取り方が違うのです。

管理職は「報告がない」と感じる。
若手は「まだ途中だから言う必要はない」と感じる。

管理職は「もっと積極的に質問してほしい」と思う。
若手は「忙しそうな上司に聞くのは迷惑だ」と思う。

どちらが正しい、間違っているという話ではありません。お互いに違うメガネをかけているだけです。

ところが人は、自分のメガネに気づきません。自分の見方こそ普通だと思っています。
だから、相手が自分と違う反応をすると、「なぜ分からないのか」と感じてしまうのです。

「ちゃんとしてほしい」
「しっかりしてほしい」
「普通に考えれば分かるだろう」

この言葉の裏には、管理職自身の解釈パターンがあります。

Z世代に通じないのは、若手の能力不足だけではありません。
管理職側のメガネが、相手に合っていない可能性もあるのです。

管理職の成功体験が通用しない理由

多くの管理職には、成功体験があります。

「自分は若い頃、必死に頑張った」
「上司の背中を見て覚えた」
「報連相を徹底して評価された」
「多少厳しくされても、それで成長できた」

これらは、確かにその人を育てた大切な経験です。

しかし、それがすべての若手に通用するとは限りません。ある人に効いた指導が、別の人には逆効果になることがあります。

特にZ世代は、納得感、心理的安全性、自分らしさを重視する傾向があります。
頭ごなしの指示や、「昔はこうだった」という話だけでは、心が動きにくいのです。

管理職に必要なのは、自分の経験を押しつけることではありません。

「この相手には、自分の経験をどう伝えれば届くのか」
「この若手は、何に不安を感じ、何に納得するのか」

そこまで分解して考える必要があります。

相手の持ち味を知り、組み合わせる

本書では、ソーシャルスタイルのように、人の傾向を知る方法も紹介されています。

たとえば、決断が早く成果を重視する人。
感情表現が豊かで場を盛り上げる人。
協調を大切にし、安心感を求める人。
論理や正確さを重視する人。

もちろん、人間を4つのタイプだけで決めつけることはできません。
ただ、相手を理解するための入口としては有効です。

私自身も、ある職場でスタッフ全員に性格分析をしてもらったことがあります。
その結果を共有し合うことで、「この人はここを大事にするのか」「こう言われるのは苦手なのか」と、お互いの理解が進みました。

それまで噛み合わなかった会話が、少しずつ変わっていきました。

人は、自分と違う相手に違和感を覚えます。
会話が盛り上がらないのは、能力や意欲の問題ではなく、単にキャラクターが違うからかもしれません。

だからこそ、相手のキャラを想像し、その人に響く問いを投げることが大切です。

Z世代対応に必要なのは観察と仮説である

職場の違和感を解消するには、三つのステップがあります。

まず、違和感に気づくこと。
次に、複数の解釈に分けて考えること。
そして、対応の仮説を立てること。

「この若手はやる気がない」と決めつけるのではなく、
「何か不安があるのかもしれない」
「指示の背景が伝わっていないのかもしれない」
「自分の言い方が、この人には合っていないのかもしれない」
と考えてみる。

違和感は、相手を責めるサインではありません。関わり方を変えるためのヒントです。

Z世代対応に苦慮する管理職に必要なのは、特別なテクニックではありません。

自分のメガネを知る。
相手のメガネを知る。
そのうえで、伝え方と任せ方を組み合わせる。

組織の違和感とは、組織が壊れている証拠ではなく、まだ活かしきれていない個性がそこにあるというサインなのだと思います。

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