技能実習制度と特定技能制度って何が違うの?
【シリーズ⑨】特定技能でインド人自動車整備メカニックの日本就業へのいきさつをお伝えします。
友人に、「いま特定技能制度を使ってインドから2名来ている」
「彼らには自動車整備の仕事で日本のトラック整備工場で働いてもらっている」と伝えたら、
「技能実習制度と特定技能制度って何が違うの?」という質問をもらいました。
そうですね。私も外国人人材に携わる前は、正直2つを一部混同していたことがありました。
改めて2つの制度を比較してみました。
技能実習制度と特定技能制度の違い
- 目的
A:技能実習制度は開発途上国への協力という「国際貢献のための制度」で、日本で学んだ技能を母国に伝えることを目的としています 。
B :特定技能制度は「就労」のため、人手不足を補うために設けられた在留資格です 。 - 業種
A:技能実習制度 技能実習は90職種(165作業)あり、業務内容が非常に細かく分かれています(2023年10月31日時点)。
B:特定技能制度 2024年1月末に業種拡大となり、16分野となりました。 - 期間
A:技能実習制度 技能実習1号は1年間、技能実習2号は2年間、技能実習3号は2年間滞在することが可能です。そのため技能実習1号から3号まで順調に移行することで最長5年間の滞在が可能です。1号から2号、3号に移行するには試験を受ける必要があります。
B:特定技能制度 1号は在留期間が5年まで延長できます。また、2号試験に合格して2号に移行すれば在留の上限はありません。 - 受け入れ方法
A:技能実習生は、海外の送り出し機関と提携している監理団体からの紹介しか受け入れることができません。
B:特定技能には特に制限はありませんので、受け入れ企業自ら採用を行ったり、紹介会社を利用したり等選択することができます。 - 家族帯同の可否
A:技能実習制度は家族の帯同は認められていません。
B:特定技能1号では家族の帯同は認められていませんが、特定技能2号では可能です。
- 日本語能力
A:技能実習制度では入国時に日本語能力は必要ありません。
B:特定技能制度では最低N4レベル(JFT-Basicレベル)の日本語能力が必要です。 N4レベルは、ひらがな・カタカナが読めて、日常会話ができます。
- 技能に関する試験
A:技能実習制度では、来日前の技能試験は不要ですが、業務開始後は技能検定の基礎級・専門級の試験を受けることが必要です。これは、実習生が日本で学んだ技能を確認し、その技能を母国に伝えることを目的としているからです。
B:特定技能制度は、来日前に技能に関する試験に合格する必要があります。その試験が現地で受けられる業種は限定されています。 - 給与
どちらも、業務内容に応じて、その業務を担当する日本人と同等の給与が必要です。
2つの制度は制度自体の目的が異なります。
技能実習制度は、日本で技能を学び、帰国後にその技能を母国に伝えることが目的なので、来日前に特定の試験はありません。
しかし、技能実習の採用者は現地で事前教育(主に日本語)を学びます。
*これは来日後に行われることもあります。
特定技能は、日本で人材不足を補うための制度なので、日本語と技能の試験に合格することが前提となります。そのためには、試験合格のために、個人で学ぶことになります。
日本語は日本語学校で約6か月学び、技能は、過去の実務経験をもとに試験を受けます。
などが2つの制度の大きな違いとなります。
日本の人材不足を補うために、この制度はさらに改良され、外国人がより働きやすく、また人材不足の対応ができるようになっていきます。
*これらの情報は2024年1月末の資料を参考に作成しました。