外国人労働力受け入れ「特定技能制度」をより効果的に運営するために必要なこと
はじめに
外国人労働者が「特定技能」として日本で働く時代です。
私は現在、特定技能「自動車整備」で4人、そして2025年には7人増え、11人のお世話をします(正確には、特定技能支援機関としてのサポート業務です)。
彼らは来日前に日本語を学び、ひらがな・かたかなの読み書きと簡単な日常会話はできます。さらに彼らは日々日本語を学ぶ時間を持っています。
現在彼らは、主語・述語をきちんと含んだ会話には対応できます。ただ雑談レベルになると、途端に理解度が下がります。2年程度の日本語学習で雑談を理解できるようになるには難しさがあります。
しかし、一緒に話していると、私が主語・述語を省いた雑談モードに入ってしますので、少々反省しています。
現在は、現場で自動車整備をしていますが、今後は、お客様との接客の機会があると思われます。その際は日本語の複雑さや業務に必要な専門用語、独特の接客マナーを理解するために、受け入れ側である企業や地域社会は多層的なサポート体制を整えることが重要と思います。
日本語学習の機会を増やす
彼らは、来日後数か月の実務経験を経ると、落ち着いた日々が送れます。 日本語学習のレベルはN4レベル取得をしています。ちなみに次のレベルがN3です。
『日本語能力試験(JLPT)のN3は、中級レベルに位置づけられます。具体的には、日常生活に必要な基本的な日本語表現や、標準的な会話・文章を理解・運用できる能力が求められるレベルです。たとえば、日常の買い物、交通機関の利用、簡単な仕事の指示など、日常生活の場面で使用される日本語をある程度スムーズに理解し、会話や読み書きができるとされています』
私の友人が大阪で日本語学校の先生をしているので、近々N3レベルの解説文と例文を作成してもらい、それをEラーニングで対応できるように予定しています。
業務マニュアルや研修資料の整備
日本人には当たり前の業務手順も、外国人にとっては初めての体験であり、誤解を招く可能性があります。
朝日新聞の『コンビニ接客 日本を学ぶ(2025年2月6日)』の事例を挙げます。
外国人従業員がレジでお客に聞く「レジ袋をつけますか?」という問いかけに対して、お客から「いいです」と言われると、必要なのか不必要なのかが分からない、とのことです。
彼らが理解困難であった「言葉」を彼らの母国語で言語化し、イラストや映像を交えた説明資料を用意することで、正確な理解を促すことができるのは、と考えています。
特定技能の先輩が日本で困った事例を集めて、彼らの母国語で説明する「仕組み」が出来れば、今後、特定技能で来日するメンバーへの力強いサポートになることでしょう。
現場でのフォローアップ体制の確立
指導役となる先輩や責任者が、日常的に外国人労働者の疑問や困難に寄り添い、業務の細かな点までサポートすることが求められます。
そのためには、日本のサポート側が、まずは特定技能出身国と日本の文化を理解し、「なぜこの行動がでるのか?」「なぜ私は今イライラしているのか?」を言語化することが重要です。
その文化の違いを理解するツールとして、「ホフステード6次元」を使い、まずは「日本」の文化を理解してもらい、次に特定技能生の出身国の文化を理解してもらいます。
次に、職場で起きた日本人が感じた「違和感」について、ホフステード6次元視点から、なぜその違和感が生まれたのか? を文化視点で因数分解します。
それが特定技能生と日本人先輩やサポートメンバーの摩擦を最小限にすることができるのでは、と思い対応しています。
ビデオを活用した就業支援
特定技能生は、母国で実務経験を積んで来日します。
しかし、同じ業務であっても、国が違い、職場が違い、先輩のやり方もあるので、業務研修はとても重要です。
表現が不適切かもしれませんが、「箸のおき方」はとても重要です。
つまり結果は同じでも、過程が異なる場合があり、それが精度・品質に繋がります。
細かい点ですが、手順等を明確にすることで、その企業の一体感を持って業務を遂行することができ、それを全員で誇れることが出来ます。
まとめ
以上のような施策を総合的に進めることで、特定技能外国人が持つ「日本語学習の壁」や「日本文化の違い」に対して、受け入れ側は柔軟かつ効果的なサポートを提供できると考えられます。
こうした取り組みは、外国人労働者の定着とスムーズな業務遂行に寄与し、日本全体の労働環境の多様性向上にもつながるでしょう。