インドで働く前に読むべき一冊 ーー『インド人は悩まない』が示す“日本人へのヒント”
メンターから紹介された一冊
目次

『インド人は悩まない 「考えすぎ」から解放される究極の合理思考』 インド麦茶 著
この本を知ったのは、私のメンターからの次の一言がきっかけでした。
「谷口さん、インドの面白い本がありますよ。読んでみたらどうですか?」
で、手に取ってみることにしました。
著者は現地駐在の経験者で、インドでの日常や価値観を日本人向けにわかりやすく解説しています。
インド駐在7年の私が感じた率直な印象
私はかつて、インドで7年間駐在生活を送りました。その経験から、「新しい情報はあまり無いかもしれない」と読み始めた時は思っていました。
しかし、ページをめくるごとにその印象は覆され、本書の整理力と視点の鮮やかさに驚かされました。
特に、インド人を
・印僑:インド人(またはインド2世)で、グローバルで生活をし、インド的文化を持ちながらも、その地域に順応している人々
・インド民:インド人で、インドで生活をしており、海外の経験が全くない人々
の二つに分けています。
この区分けが最初に行われていることで、インド人を一括りとして説明することを防いでいますし、よりインド人に対する理解が深まります。
現地の出来事を“理由付きで”整理してくれる本
インド駐在中、私も多くの出来事を体験しました。
「なぜそうなるのか?」「なぜその行動を取るのか?」
理由がわからず戸惑ったことも数えきれません。
本書が優れているのは、そうした現象を単に紹介するのではなく、
「インド人の背景・文化・思考プロセスを踏まえ、理由を丁寧に言語化している」点です。
私が経験として理解していたことが、“体系的な説明”として目の前に並び、「そうか、この背景があったのか」と腑に落ちる場面が多くありました。
日本人がつまずくポイントへの具体的アドバイス
さらに本書では、
◯ 日本人が戸惑いやすい場面
◯ インド人がなぜその判断をするのか
◯ その時、日本人はどう対応すると良いか
の3つが実務レベルで整理されています。
駐在者だけでなく、リモートでインドチームをマネジメントする日本側の管理職にも役立つ内容です。
「文化を知る」と「実務で使える知識」は違いますが、この本はその両方を満たしてくれています。
これからインド駐在する人への強いおすすめ
結論として、この本は “インドで働く人の必携ガイド” と言えます。
インドに初めて赴任する方、現地スタッフと協働するマネージャー、さらにはインドとオンラインで仕事をするビジネスパーソンにとっても、精神的負担を減らしてくれる一冊です。
現地で戸惑う前に読むことで、心の準備が大きく変わります。
まとめ:インドを理解するための“地図”としての価値
私自身、7年の駐在で得た体験が本書の内容と重なり、改めて「インドを理解するとはどういうことか」を整理する良い機会になりました。
文化が違うからこそ、その背景を知ることでコミュニケーションは豊かになります。
『インド人は悩まない』は、その地図を広げてくれるような存在です。
インドと関わるすべての日本人に、この一冊が“最初の味方”になってくれるはずです。

