差別はなぜ起きるのか?:無くすためにできることはなにか?
先日ネットで、アイルランド体操協会が黒人少女一人だけにメダルを渡さないという事件が起きました。
当人は、故意にわたさなかったわけではない、差別意識はなかった、と説明したことを読んで、思ったことを書きます。
差別とは何でしょうか?
仕事をしていると、他社との「差別化」をして・・という指示を何度かもらいました。
他社との違いを『意識的に』際立たせ、商品の特徴を目立たせるように、という意味です。
しかし、日々の世界で起きている「差別」を「意識して」行う場合はあるでしょうが、私の個人的意見ですが、差別を「無意識」で行っている場合があるのではないでしょうか?
関心の有無とアンコンシャス・バイアス
例えば、二人で同じ風景を見ても、Aさんはその風景の特徴に気づき、Bさんは気づかない。これは、Bさんが風景に関して「関心」を持っていない、つまり、意識的でも無意識でも(顕在意識でも潜在意識でも)『気にしていない』ので、自然とスルーしてしまう状況ではないでしょうか?
この対象が風景ではなく、「人間」となると、相手に「関心」がなければスルーされてしまいます。
人間関係で悲しい場面は、相手してもらえない・スルーされる、場合ではないでしょうか?
先日ネットで、アイルランド体操協会が、選手表彰の際に、黒人少女に対してメダルを渡さなかった事件があったことを知りました。
担当者は、故意ではなかった、との弁明をしています。
担当者が本当にどのような意図と気持ちで黒人少女にメダルを渡さなかったのでしょうか?
一つの仮説としては、担当者が黒人(少女)に対して、「関心を持っていなかった」としたらどうでしょうか?
日常から黒人に対しての関心がない、薄い場合、とっさの行動として、目の前にいた黒人少女に関心が及ばず(もしかしたら視界には入っていたかもしれませんが、意識レベルとしては認識されなかった)、無意識にメダルを渡さずに次の選手へのメダルを渡した、とは考えられないでしょうか?
私は、サッカー好きの友人から、サッカーの話題を振られると困ります。サッカーが嫌いではないのですが、関心がないので、
- Jリーグでの順位
- 海外クラブチームでの日本人選手の活躍
などの話題にはついていけず、友人からは「サッカーが気にならない?」と毎回詰問(?)されていますが、未だに大きな関心を向けることがありません。
こんな時に、関心のない事の情報は入ってこないし、仮に素晴らしい情報が来てもスルーするのだろうな・・と感じています。
ですから、アイルランドのケースを聞いたときに、「ああ関心がなかったんだろうな」と思いました。
この無関心は「アンコンシャス・バイアス:無意識の偏見」とも言われます。
バイアスの理解と向き合う方法
バイアス(偏見)とは、ある情報を得たら、即意識することです。
バイアス(偏見)は決して悪い事ではありません。バイアス(偏見)があったから生き延びている、とも言われています。
例えば、ジャングルでライオンを見たら(普通は)即逃げて、生き延びようとします。
それは、過去にライオンに殺された知人がいたので、その情報からライオンは危険な動物である、という認識(あるいは偏見)を持っているからです。
もし過去の情報がないと、ジャングルでライオンと遭遇した際に、「あれ、動物がいる。ネコに似ているけど、サイズが大きいので、猫ではないな。もしかしたら、ジャングルにはライオンという獰猛な動物がいるって聞いたことあるけど、あれはライオンか?」で数秒間の思考ののち、ライオンにガブってやられてます。
ですから、バイアス(偏見)があるから、人間は今生存している、と言われています。
でも、そのバイアス(偏見)が、ある時は、間違った情報である場合があります。
それは物事の全体を見ずに、ある一部を見て判断しているからです。
バイアスには多くの分類がありますが、それをいくつか紹介すると、
- 権威バイアス
上司のいうことは正しい、先生の教える内容は絶対的に正しい等、「上司」「先生」という権威がある人の発言は、常に正しい、と信じること。
- 確証バイアス
自分に都合のよい情報のみが目に入り、都合の悪い情報は、目に入らない場合があります。「思った通りだよ」の発言は、多くの情報から自分に都合のよい情報を手に入れたときに、思わず言ってしまいますね。
バイアスは多数あり、それは過去に仕入れた情報をベースにして、自分の理解、価値観を加えて作られるので、同じ情報でも、人によって、理解が異なり、結果として異なるバイアスを各自が持つことになります。
では、どうやってバイアスをなくしたらよいでしょうか?
私の意見としては、バイアスはなくなりません。かつ日々バイアスは作られています。
それらは無意識につくられるので、「アンコンシャス・バイアス:無意識の偏見」といわれています。
今私たちにできることは、みんながそれぞれのバイアスを持っている、ということを自覚して、相手と意見が異なった場合は、「もしかしたら私はバイアスをもっているかも?」と自問自答してみることが、必要なことではないでしょうか?
アンコンシャス・バイアスに興味がある方は、こちらのフォームよりご連絡ください。
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