ジェンダー平等への一歩:女子大のALL Genderトイレで感じた心理的な障壁
あるトイレに入る勇気が持てなかったつぶやきです 。
女子大でのトイレ経験
先日、品川周辺にある女子大学に、約3時間の研修のお手伝いをさせていただくために滞在しました。場所は100人程度集まれる講堂でした。
研修が終わりトイレに行きたくなりました。
「女子大にも男子用のトイレはあるはず・・・男性の職員や先生もおられるはずだから・・・」
部屋をでてトイレに行きました。
トイレは有りました。しかし、何かいつもと違う?
そのトイレはなんと「All Gender」だったのです。
私はその表示をみて躊躇してしまい、トイレにはいることができませんでした。
何を躊躇したのかを冷静に思い出してみると、
自分がトイレから出たとき、女子大生とバッタリ出会ったら、どのようにしたらよいのか?
という、どうでもよい心配(一番オジサン的な発想ですが)でした。
頭ではジェンダーの時代、とは理解しつつ、行動はまだ昭和レベルだな、と感じた出来事でした。
海外:スウェーデンでの事例
国がかわり、スウェーデンの公共トイレではどのような状況なのでしょうか?
スウェーデンでは以下のような特徴があります:
ピクトグラム(絵表示)では男性と女性が並んで表示されます。
駅や美術館などでは、複数の個室が並んでおり、共用の手洗い場があります。
公園などでは手洗い場が設置されておらず、直接個室に入る形態で、個室内には小さな手洗い場と鏡が備わっています。
男女とも列を作り、交代で利用する形式が一般的です。
個室の場合、天井や床に隙間がないため、外から見えないような安心感があります。
(朝日新聞 2023年6月18日のGlobeから抜粋)
日本でのジェンダー論議
一方日本では、ジェンダー格差を解消するために、以下のような議論が行われています:
– トイレのジェンダー対応はどうするべきか?
– 銭湯ではどのように対応すべきか?
しかし、これまで男女別の施設(ハード面)が当たり前だった日本において、急にジェンダーに対応する(ソフト面)となると、心配や戸惑いの瞬間がまだまだ存在すると思います。
早急にソフト面の整備を進めると同時に、(特に公共の)施設がジェンダーに対応する必要があることを、女子大のトイレの前で経験したことから気づきました。
私のアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)
なお、私は女子大のALL Genderトイレに躊躇して入ることができず、急いで品川駅方面に向かい、セブンイレブンのトイレに駆け込みました。そのトイレは以下のマークで示されていましたが、躊躇せずに入ることができました。
見慣れたピクトグラム(絵表示)では入れたので、自分の行動を振り返りながらトイレに対するバイアス(思い込み)が強いなと感じました。
そこで、冷静に自分の行動を振り返ると、以下のような疑問が浮かびました:
なぜ女子大のトイレには入れず、セブンイレブンのトイレには入れたのか?
(両方とも男女兼用であり、女子大はすべてのジェンダー用でした)
その理由として、以下の点が特に重要だと思いました:
セブンイレブンのトイレには行き慣れており、以前から何度か使用した経験がある。
セブンイレブンのトイレは店内から見通せる場所にあるため、安心感がある。
これらの理由から、特に「慣れ」が私の行動に大きな影響を与えていたのだと気づきました。
新しい環境では、誰でも慎重な対応をします。しかし、慣れればそれは新しい環境ではなく、普段の環境となりますので、心理的な躊躇も少なくなるでしょう。
私は過去40年ほど女子大に足を運んだことがなかったため、そのこと自体が「超・新しい環境」でした。
さらに「すべてのジェンダー向けトイレ」と書かれたトイレも初めてでした。
つまり、ダブルで新しい環境だったのです。
今後、日本はLGBT法案が可決され、今後本格的な性差排除の方向へ進んでいくことでしょう。
初めは(私のように)慣れずに戸惑うことが多いかもしれません。
しかし、経験を積んで慣れることで心理的な障壁は減少し、同時に新たな課題も生まれてくるでしょう。
これはLGBT生みの苦しみ ですね