年上部下を持つ管理職への「聴き方」アドバイス 

「プロカウンセラーの心の声を聞く技術・聞いてもらう技術」/諸富祥彦 著 

諸富祥彦さんは、私が以前から参考にしているカウンセラーです。
今回の著書『プロカウンセラーの心の声を聞く技術・聞いてもらう技術』では、「聞く」と「聞いてもらう」の両面からコミュニケーションについて深く書かれており、その視点に非常に興味を持ちました。 

企業では多様化が進み、昭和時代の「金太郎飴」的な社員は少なくなりました。
個々が異なり、その価値観そのものも多様化している時代です。 

さらに、定年延長等で、年上部下を持つ若手管理職が多くなり、コミュニケーションに悩む方は多いと思います。 

私も(かなり前ですが)若かりし課長時代に、全員年上部下という、超恐怖を感じた組織にいたことがありました。 コーチングを学んだり、諸富さんの教えを参考にしたり、(年上)部下とのコミュニケーションに苦労を感じた日々を過ごしました。 

企業で働く管理職の皆さんにとって、特に年上の部下を持つ場合、コミュニケーションの難しさを感じることは少なくないでしょう。 

管理職の皆さんが、先輩上司(元上司の方もいることでしょう)とどう向き合い、効果的にコミュニケーションを取るかは重要な課題です。 

下記の5つを参考にして、コミュニケーションに苦手意識を持たず、(年上部下を含む)だれとでも気軽にコミュニケーションがとれる関係性を持ってください。

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聞く技術:年上部下とのコミュニケーションを円滑にする5つの事例 

 聞きっぱなしのそのままにする 

 *余計なことを言わない+アドバイスを控える 

管理職としては、部下から相談を受けるとついアドバイスをしたくなります。親子関係でも同様ですが、上下関係が発生する際、「上」の立場に居ると、とうしても何か「気の利く一言」を言いたくなったりしませんか?! 

せっかく相談にきてくれたのだから、何か気の利いた一言を言ってあげようと考えます。 

が、これが大きな間違えの第一歩、と諸富さんは言われています。 

特に部下は、「聞いてもらいたいだけ」というケースも多いです。
例えば、部下が「最近、業務がうまくいかない」と話した際、「こうしたらいいんじゃないか?」とすぐにアドバイスをするのではなく、まずは「そうか、それは大変だね」と受け止めることが大切です。 

アドバイスは後回しにし、相手の話をじっくりと聞く姿勢が重要です。 

「でもね」「そうは言っても」を言わない 

 *相手の話を遮らない 

部下が話している途中で、「でもね」や「それは違うと思う」といった言葉を挟むと、相手の話の腰を折ってしまいます。 

例えば、部下が何か改善点を提案しているとき、「それは前にも聞いたことがあるな…」とか、「そうは言ってもね…」などと話を遮るのではなく、最後まで相手の話を聞いてから、自分の意見を伝えるよう心掛けましょう。 

余計な一言を避ける

「余計な一言を言わない」というのも大切な聞く技術の一つです。 

年上部下が自分の経験や意見を述べた際、「それは前のやり方だね」と過去の方法を批判的に扱うのではなく、その意見を尊重し、「そういった方法もあるんだ」と受け入れる姿勢を見せることが、信頼関係を築く第一歩です。 

部下は、上司から「批判されない」「否定されない」とわかると、安心感を持って、自由に自分の意見を語ることができます(心理的安全性につながる内容ですね)。

あるデータによると、アドバイスは9割以上の確率で何の役にも立っていません。よって、もし何かを言いたいのであれば、「これは自分のアイデアだけど」「参考に聞いてもらいたいけど」などの一言を伝え、手短に話を終えて、相手の話に戻ることが大事です。 

感情に共感する 

年上の部下が抱える不安やストレスには共感することが大切です。 

たとえば、部下が「この年になって、今のやり方に慣れるのは大変だ」と感じている場合、その感情に対して「そうだよね。新しいことを学ぶのは簡単じゃない」と共感し、相手が感じている困難を理解する姿勢を示すことで、安心感を与えることができます。 

イライラしたら一時中断する 

部下の話を聞いていて、自分がイライラしてしまう場合もあります。
そのようなときは、「少し考えさせてほしい」と一度話を中断し、冷静さを取り戻してから再度話を聞くようにしましょう。 

感情的になると、相手の話を受け止めきれず、逆に関係が悪化するリスクが高まります。 

せっかく相談に来てくれたから、と無理して話を聞き続けるケースがありますが、まずは相手に不快感を与えないことが大事です。ですからちょっと席を外す、リスケをお願いするなど、話を聞く側、話をする側の両方がストレス少ない環境と場所を見つけて、話を再開することが大事です。 

その際は、「午後4時にまた話をしよう」とか「明日の朝一番の9時に話をしましょう」などと、場所と時間を明確にすることで、相手は話の継続に安心感を持ちます 。

結論

年上の部下とのコミュニケーションは、通常の部下とは違った配慮が必要です。 

しかし、同時に「年上部下だから」と意識しすぎると、逆にぎこちないコミュニケーションになってしまいます。 

相手が部下でも上司でも、一人の人間として尊重し、敬意をもって接することで、まずは信頼の第一歩が築けるはずです。 

聞く技術を使い切ることで、年上部下との信頼関係を深め、より円滑な職場環境を作ることができます。 

管理職としての役割を果たしつつ、相手の話をしっかりと聞き、自分の意見もしっかりと伝えることで、より豊かなコミュニケーションが生まれるでしょう。 

参考になれば幸いです。

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