傾聴の為の4つのトレーニング

2019年7月12日 Vol.40

組織で生産性を高めたたり、新しいアイデアを躊躇なく表現できるか、どうか?は「心理的安全性」が保たれている環境であることが重要です。

「心理的安全性」を高めるには、部下としっかりと意思疎通ができて、部下から「しっかりと話を聴いてもらえた」と感じてもらえるようにすること。
それには、「傾聴」が求められます。

しかし、実際の会社では、リーダー・経営者がプレイイングマネジャーとなっており、業務に追われて、部下の話を聴く時間が十分にとることができない、のが実情ではないでしょうか?!

また傾聴の重要性を理解しても、傾聴スキルさえ身につければよい、という短絡的な「傾聴ノウハウ」も見受けられます。 

真の傾聴とはなにか? それを得るためのトレーニングとは何か?

今日のテーマは「傾聴」です

こんにちは! 多様化する人材対応の専門家 谷口彰です。

「傾聴」はキクことですが、漢字では3つのキクがあります。
言葉の遊びではありませんが・・・漢字の 聞く、聴く、訊く の違いをまずは説明します。

キクの3種類とは

聞くとは?

「門を開いて耳を澄まして人にたずねきく」
聞くの表す範囲はもっと広く、人にものを尋ねるだけでなく、他人の意見を受け入れたり、誰かの相談を受ける際などにも使われます。

聴くとは?

「聴」という字は、耳に「まっすぐな心」を表す部分を加えた作りになっています。つまり、「まっすぐな心で耳を傾ける」という意味があるわけです。この「まっすぐな心で」というのがポイントです。

 

訊くとは?

訊くという表記をする場合は、「聞く」や「訊く」とは違い、もっと用途が限定され、人にものを尋ねたり、問いただす際などに使われます。
例えば、「道順を訊く」「本音を訊く」といった具合です。

 

ですから、人の話をしっかりと「キク」場合は、「傾聴」と書きます。

 

傾聴力をつける4つのトレーニング・スキル

では、傾聴をする際に何を注意すればよいのでしょうか?

ではない傾なので、「まっすぐな心」がもとめられます!

傾聴には3つの大きなポイントがあります。
① 受容:相手を受け入れる
② 共感:話を聞いてその通りだと思う
③ 信じる:人は無限の可能性を持っており、人は課題を自分で解決する
      能力をすでにもっている、と信じる

では、この3つのポイントを実現するために、下記の4つのトレーニングが必要となります。

相槌を打つ
  相手の話を黙って傾聴していると、相手は聴いてもらっているのか?と
  心配となるので、うんうん、とか、そうったんですね、などの
  相槌を打つ

オウム返しをする
  相手の話のキーワードをそのまま繰り返す
  相手の話を要約して返す
  このオウム返しは、自分のキーワードが帰ってくるので、
  脳内で相手は理解してくれている、という安心感が生まれる。

相手に合わせる
  相手の話すスピード、リズム、声の調子に合わせる
  相手の身振り、手ぶり、姿勢、座り方(足の組み方)を合わせる
  相手は、自然と一体感を感じ、安心感を覚える

沈黙を恐れない
  相手は、こちらが真剣に傾聴していることを感じ、さらに深いレベルまで
  話が進む。と同時に、今まで考えたこともないこと(潜在意識の中にいる)
  に集中すると、話が途切れて沈黙となる。

  この際、この沈黙を恐れず、次の言葉をゆっくりと待ち、
  傾聴を継続する。
  ここで、「今何考えているの?」などと聞くと、潜在意識から顕在意
  にもどり、相手の思考は浅いレベルで終わってしまう可能性が大きい。

 

傾聴はスキルを覚えればできる、という浅いレベルのものでない! 

本屋や雑誌で傾聴のやり方などが書かれているが、実際はそんなに簡単にできるものでない。もちろん私も発展途上でトレーニングをしても、まだまだ反省点が多く出る。

傾聴力を身に着けるには、実践しかない。

と書きつつ、実際は自信がないことは実行できないので、仲間と傾聴トレーニングの時間を持つと効果的です。

例えば3人集まれば
① 相談する人(クライアント役)
② 傾聴する人(コーチ役)
③ その場を観察して、最後にコメントする人(オブザーバー役))

この3人で交互に役割を変えて、5~10分程度で交代します。
・相談して相手からのの傾聴を感じる
・実際に話を聴いて、傾聴する4つのトレーニングを実践し、
 (最初は)傾聴の難しさを知る
・目の前の2人の会話を聞き、傾聴されている側と傾聴している側が
 本当にリラックスして、信頼関係がここから始まります。

実際にこのトレーニングをして、今でも感じることは

傾聴はなかなか上手くできない、という事実です。

例えば、
相槌を打っても、相手は全く話すペース、私への反応がない
  →相手は、とにかく話したい・吐き出したい という思いが強い場合、
   じっと前のめりで聴き、最後に大きく頷き、わかっているよ、との
   意思表示をする べきだったな~

オウム返しをしたくても、相手が早口で、なかなかオウム返しをする
 タイミングがつかめない。でも話をこじ開ける様にオウム返しをしたら
 相手も話の腰を折ってしまった。
   →相手の話をしっかりと聞き終わったら、最後に聞いた話を
    要約して「まとめオウム返し」をすればよい

相手に合わせるを意識していると、それ自体はまあまあいいかな~と
 思いつつ、相手の話を聞いていない自分に気づく唖然とする・・
   →まずは話をきちんと聞くことが重要、を再認識するとともに
    4つのテクニックを同時並行対応はまだまだできていないと
    痛感する

沈黙を恐れない、と書きつつ相手が話さない時間が長くなると、こちらが
 そわそわしています。
 しかし、3人で傾聴トレーニングの際、話し手が沈黙している姿を
 みなしたが、実際の沈黙期間は10秒程度で短い時間でした。
 ですから、タイトルにあるように沈黙を恐れてはいけません。
 相手が自分と向き合って答えを見つけている時間ですから。

 やはり傾聴トレーニングは多くの気づきがありますね!

 

傾聴の効果

傾聴してもらうと(これはほんとに傾聴が上手な方にしてもらう必要がありますが)とても気持ちいいです。

・ああ、話をじっくりと聞いてもらえた
・自分が普段話さないことまで話した。
・自分でゆっくりと感情を掘り下げていくと、知らない(普段気づかない)
 自分を知った。

などなどの効果があり、とても前向きに物事をとらえることができます
・踏ん切りがつかなかったことにチャレンジする気持ちになる
・悩んできたけど、吹っ切れて別のことにチャレンジしたくなる
などなどです。

また、この傾聴をしてもらった印象がよく、また同じ方に話を聞いてもらいたくなり、その繰り返しが相互信頼を深めていきます。

これが会社の上司部下、同僚の関係であれば、人間関係が深まり、信頼が増してすばらし組織形成ができます!

傾聴ボランティア

今核家族化、SNS普及などでお互いに対面で言葉を交わす機会は少なくなっていますが、「傾聴ボランティア」という新たな傾聴を活用する場面があります

老人ホームなどで介護スタッフとは別に傾聴ボランティアという方々が活用している、との事。それを紹介した内容ですが、とても傾聴に関する重要な点が掛かれています。参考に引用します。

傾聴ボランティアは、「解決してあげる人」ではありません。あなた自身がよかれと思う解決策をすぐに提示するのではなく、傾聴活動の中では、むしろ、お話を聴くことを通して、相手の方自身が真に何を求めているのかを自ら知ることが大切だと私たちは考えています。

真に求めていることが分かると、本人自身がよりよい解決の方法を思い付くかもしれません。より適切な専門家につなげることもできるかもしれませんし、それによって、専門家が迅速に必要な手立てを講じることができるようになるかもしれません。

私たちができることは、相手の方にできるだけ多く話をしてもらい、そのことによって、その方自身の心の負担が少しでも軽くなるようにお手伝いをすること、

また、同時に、考えの整理がついて自分なりの判断や納得に至ることのお手伝いをすることです。

そうしたことしかできないのだと、むしろ、わきまえたいと思います。というのは、人は、基本的には、誰でも自分のことは自分で解決できる能力を持っていると信じることが大切だからです。

しっかりと話を聴き、相手の可能性を信じ、自分で考えを整理して判断してもらう・・という基本的に、相手を人間として尊重する姿勢が明確です。

こんな相互信頼の関係性を企業・部門で持つことが出来たら、どんなにすばらしことでしょうか?

傾聴の実践

傾聴について、読んで頂きましたが、はやり実践しないと意味がありません。

私のおすすめは2つあります

1分間傾聴

えっ たった1分ですか? とよく言われますが、まずはハードル下げて1分間から始めましょう(最初から30分間の話をお互い続けられますか?)

・部下の机に行って、ちょっと聞きたいけど・・
・廊下ですれ違い様に、あの件だけど・・・
・会議が終わって、ちょっとだけ残ってもらっていい・・

など、敢えて「今から面談するぞ。そこで私しっかりと傾聴するんだ!」と構えると、相手も緊張して話しが盛り上がらない場合が多いので(経験済です)

まずは、傾聴4つのトレーニングの一つでも使ってみて、相手の反応を確かめたり、自分の傾聴ふりかえりをします。

10分間傾聴(お茶飲みながら)

これは上記の1分間傾聴で少し傾聴の場数を踏んだのち、部下との面談に行く前、気楽な時間としての傾聴です

事前に面談時間を決めて、会議室予約して・・となると相手も緊張します。
ですから、ちょっとお茶飲もうか・・と自分は手ぶらで部下を誘い、雑談をしながら傾聴をします。部下には申し訳ないですが、これはリーダー・経営者の
傾聴実践を行うものです。

例え傾聴の実践練習でも傾聴なので、これを繰り返すころで、自然と部下との
会話が増え、信頼関係が芽生え始めます。

そうなると組織の雰囲気がとても明るくなることを実感できます。


最後まで読んで頂きありがとうございます。
良い一日をお過ごしください。

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