えっ、在留資格切り替えに2か月ですか?外国人の特定技能・就労許可待機の実態

【シリーズ⑥】特定技能でインド人自動車整備メカニックの日本就業へのいきさつをお伝えします。 

今働いてもらっている特定技能のインド人の二人は、2022年9月から岩手県の住宅建材のメーカーにて(特定技能ではなく)技能実習生として働いていました。 

しかし、日本での継続就労を目指して、独自に日本語と特定技能の試験を受け合格していました。 

紹介でその二人と面接をして、今埼玉県のトラック整備工場で働いてもらっているのですが、
その際、在留資格の変更手続きが必要でした。 

岩手県での就労は1年間ですので、それを延長する必要があったのです。 

具体的には、二人は2023年8月26日までの就労ビザを持っていました。 
岩手での業務は8月25日に終了し、翌26日に私が、大宮駅の新幹線ホームで彼らを迎えました。 
そして、埼玉県の社宅(借り上げですが)に無事に届けました。 

行政書士のK先生の手続きで、埼玉の会社で就業ビザを8月25日以前に申請し、入管事務所に受理されました。 

雇用契約は事前に結んでいて、そのために書類作成をK先生にお願いしていました。これらの書類が受理されたので、インド人2名の日本滞在は正式に許可されました。 

インド人には、「手続き中」とのメール文面のコピーを渡して(期日切れの)在留カードと一緒に保管してもらいました。 

念のため、私の携帯番号とメールコピーをいつも持参してもらうように伝えました。 
「夜にコンビニに行った帰りに、警察の職務質問を受けるケースがある」と、
物流拠点のセンター長さんから聞いたからです(ベトナム人が職質されたとのことでした)。 

二人の滞在許可が下りるまでの待ち時間について、行政書士K先生曰く
「通常は1か月程度です。但し他に申請書類が多いと審査日程が遅くなる場合があります」とのこと。 

実際は、1か月が経過してもなかなか新しい滞在許可は下りません。 
またK先生が出入国管理事務所に問いあわせをしても、なかなか明確な回答はいただけませんでした。

 

そんな時に、出入国管理事務所より、「特定技能ではなく、特定活動で申請をしてください。その後特定技能に切り替えます」という趣旨の連絡がありました。このため急遽書類を作り直して申請し、10月18日に4か月の「特定活動」としての在留許可が出ました 
(2024年2月には本来の特定技能に戻して申請をします)。 

そこでインド人2名と一緒に、お祝いのインド料理を食べに行きました。 

と、すべて上手く対応できているように書きましたが、実はその間もいろいろとありました。 

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就労許可「見込み」での現場見学の難しさ

当初は就労許可が直ぐ受領できると(私が勝手に)考えていたので、インド人2名は修理現場で見学をすることにしました。 

彼らはインドで3~5年の実務経験はありますが、この現場ではこの現場のルールがあるので、それを理解してもらう目的がありました。 

しかし、許可がなかなか下りず、且つ自動車整備会社より「就労許可がないのに、現場で2名が働いているように見える懸念がある」との指摘をうけました。 

実際は見学で工具類は一切持っていませんが、「外部から見れば、作業補助をしているように見える」とのことでした。 

見学期間は約2週間でしたが、その後は自宅(社宅)待機となりました。 

無収入での自宅待機。お金が…

待機といっても、既に岩手の仕事が終わりほぼ1か月が経過していました。その間は給与がないので、彼らの手持ちのお金が減っていきます。また日本でも給与の半分以上を親に送金しているので、現金(セブン銀行預金)が少なくなってきています。 

社宅住まいですが、社宅費や光熱費等は発生するので、整備会社に「就労許可が出るまでは、費用を請求しないでください」とお願いして、了承していただきました。 

就労許可を待つ自宅待機中の外国人の様子

二人は、スーパーで買い物をして完全自炊の日々。 
貸与された自転車で近くの公園に行き、ブラブラするなどしていましたが、実際には1日の大半はYoutubeを見ることに費やされていました。幸い社宅にはWifiがあるので、インドの映画、SNSを毎日見ていました。 

一週間後に会うと「もう見るYoutubeがありません・・」と愚痴が出ました。 

給与が出ないのでSIMが買えず電話が使えない問題

ある日、「バスティマ米(外米)が切れたので、インターネットで注文して着払いにした。電話番号を記入する必要があるけれど、インドの電話番号が入力できないので、谷口の携帯番号を使わせてもらいたい」と依頼がありました。 

彼らの携帯はインドから持ってきましたが、当初岩手の仕事が1年間限定だったので、日本でのSIMを購入しておらず、日本の電話番号を持っていませんでした。 

彼らは5年間の仕事を得たので、今後携帯SIMを購入する予定ですが、給与が出ないので、それができない状況です。 

その後、私の携帯に「Mさんですか? ヤマト運輸ですが、あと10分で着払いの貨物をお届けするので、お金を用意しておいてください」との電話がありました。 

私は着払いをしたことありませんでしたが、着払いの確認電話だったので、WhatsApp(Lineと同じ機能を持っていますが、インドではこれが一般的なSNSです)で連絡を取り、無事に彼らの社宅で荷物を受け取ることができました。 

社宅にはWifiが通じているので、彼らが自宅(会社でも可能ですが)に居れば連絡を取ることができます。 

「いつか」からの卒業 

なかなか就労許可が下りないので、彼らは急に「インドに一時帰国をして、許可が下りたら来日します。親が帰ってきなさい、と言っています」と言い出しました。 

彼らは20歳後半ですが、日々WhatsAppで家族と連絡を取っており、「仕事がないならこちらで生活すればいいでしょ!」と2人とも親に言われました、とのことです。 

すでに6週間ほど経過しているので、私は(今更・・もう少しだから)と思い、社宅待機をお願いしました。
その間「いつ許可が出ますか?」「いつか(Someday)」と答えていました。
彼らに「谷口さんはいつもSomedayしか言わない人だ」と嫌味を言われつつ、 「じゃ、カレー食べに行こう!」とインドカレーを食べることで気をまぎらすことしかできませんでした。 

でも10月18日(岩手から埼玉に移動してほぼ2か月経過しましたが)に就労許可が下りたので、「いつか(Someday)」と言わずに済みました。 

本当に、会社の皆さん、行政書士のK先生、そして我慢強く自宅待機してくれた2人に感謝です。

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