部下指導・育成の肝は○○を任せること!

部下の指導・育成には悩みがつきません・・・と言われた総務系のお仕事をされているMさんからこんなお困りごとを聞きました。

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部下に仕事を依頼して、概略を説明すると「はい、知ってますから大丈夫です」と言われたので、特にサポートをしなかったら、いつまでの仕事が終わらず。確認したら結局何もアウトプットは無かった。


研修に参加を勧めたが、以前に同様の内容を受講したので、結構です、と言われた。
その後、研修で学んだ事を聞いたら、目次程度の内容しか理解しておらず・・何なんだ! と呆れた・・

QCサークルを始めたが、リーダークラスは皆QCの内容は知っている、とのことだったので
サークル活動を始めたが、全く機能していない。 単に知識は持っているが、QC活動は今回が初めてだった

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俗に言われる、「知っているけど、使えない」 つまり、知識のみで実行を伴っていない、というのが実情です。


私ははMさんに、アドバイスとして「先生役をやったもらったらいいですよ」とアドバイスしました。

 

読書で知識を蓄える!

部下に「知識は知っているだけだと使えない」を 理解してもらう


一般的に部下指導の順番は、知ってもらう⇒理解してもらう⇒実践してもらう⇒継続してもらう⇒気づいてもらう⇒教えてもらう・・と教えてもらう という場面は一番最後の順番となりますが、私のお勧めは、

ちょっと教えたら、その次は先生をやってもらう と決めています。


なぜなら、人間の理解度は、ほとんどが「分かったつもり」のレベルです。


本を読んで、感動した。翌週、その本の作者の訴えたかったこと、主張したかったことは何か? と聞いても(私を含めて)ほとんどの人は説明できません。


前のめりになって読んだとしても、一人ではなかなか考えがふかまりませんね。


だから、本のあらすじは思い出せても、作者の意図はなんだったのか? と少し深い問いには答えられず、またそこまでの思考に至ってない場合がほとんどです。

とりあえず、部下に先生役を任命する



でも、読者の皆さんには、そんなちょっと知ったレベルで先生なんかできないでしょ! と思われる方が多いと思いますが、答えは「出来ます」です。


私の例ですが、新入社員3年目に大きなプロジェクトに入りました。


と言っても、ほとんど雑用です。


会議の議事録(先輩が書いたもの)を清書する

それをコピーして参加者に配る(当時は社内メールなどありませんでした)

次回の会議日程を参加者に会議通知を書いて、コピーし机に置いてくる。

その会議の数日前に、リマインドとして、直接日程の確認をする。

 (当時は、共有カレンダーなどなく、すべて個人の胸ポケットに入って居る、小さな手帳で日程管理されていたので・・)


などなどをしていましたが、プロジェクトがほぼ完成し、ユーザー説明会を開催することになりましたが、先輩方はまだプロジェクト本体で忙しく、その役割は雑用係の谷口が担当することになりました。

今までプロジェクトメンバーといえども、仕事は、コピー程度でしたので、内容は聞きかじっていましたが、ほとんどわかりません。焦りました。そこで一言・・

先輩! 何をすればいいのでしょうか?

谷口、お前まだこの全体を理解していないだろ。だから自分が理解するためには何を知らなければいけないか、という最低限の「これだけは理解してください」に絞って説明資料を作成するように。

との事。

とりあえず、部下に先生用の資料を作らせる

 

頭が汗をかく、という経験は初めてこの時にしました。

作業を開始して、自分がいかに理解をしていないか(わかったつもり状態)? を改めて理解しました。

そして、先輩が作成した資料をパクっても、その言葉の意味が十分に分かりません。そこで一つひとつの言葉の定義とかなぜ必要なのか・・を先輩方に聞きまくり(そんなこと知らずにプロジェクトやってたの? と散々嫌味を言われるつつ・・)

やっと期日までに完成したのは、現状の作業の流れとプロジェクト後の作業の流れの比較図(A3が2枚だけ)でした。


自分では、これだけやってたった2枚か? という情けなさと、この2枚であれば、何を質問されても答えられる、という度胸はありました。

 

部下に先生役をやってもらう



その説明会には部員全員が揃い、最前列には普段見るだけで口をきいたことがほぼ無い部長と課長が座っていました。


説明を始めましたが、基本の基本だから、部員の方は、つまらないだろうな~と思っていましたが、逆に現在の作業の流れは正しいのか? というそもそも論ですが、中堅主任さんたちの議論が盛り上がったり、新しい作業フローでは、あれはあるのか? ないのか? などの中身の濃い質問がありましたが、基本的は内容でしたので、無事説明することができました。


もちろん、詳細説明は先輩方にサポート回答をしてもらいましたが、基本的は内容は、私が回答することが出来ました。

部下が先生役から専門家に切り替わるという衝撃的な瞬間


説明会が終わり、課長から一言がありました。

これからプロジェクトが実務展開します。
内容は谷口が分かりやすく説明してもらったので、概略は理解してもらった、と思います。
今後は詳細に入りますが、プロジェクトメンバーはまだ詳細対応があるので、質問の窓口は谷口とします。

で閉会しました。


直接お褒めの言葉はありませんでしたが、課長から「分かりやすい資料」との評価をもらい、頑張ってよかった! と嬉しい時間でした。


やっと説明会が終わってホッとしていましたが、翌日からかなり高いレベルでの実務的は質問がどんどん来るようになり、でもそんな詳細はわからず・・ 先輩方に聞きまくってどうにか対応できました。


その半年後、ほぼプロジェクトが終わり、実務展開が軌道に乗りましたが、部内では「新しい実務で分からないことがあったら谷口に聞けばよい」という流れとなり、気が付くとその部門の専門家っぽくなっていました。

長くなりましたが、若き谷口が先生役をやりました・・という話です。

人間は崖っぷちに立たない限り前進しない


後日先輩に、説明会の係りを任命してもらい感謝してます、と伝えたところ、先輩は笑いながら


別に誰でもよかったんだけどね。だって最初の説明会でしょ? まだまだ続きがあるから最初が失敗してもリカバリーはすぐできるからね。


でも予想以上にうまく対応してもらったから、正直驚いたけど、でも本人にとっても良い経験になったね・・


と実は私には全く期待していなかった、という事実と、でも、先生を任命されなければ、ここまで頑張れなかったという事実もあります。

やはり、人間は崖っぷちに立たされ、恐怖を感じ、やっと本気になって対応する、という実体験です。


会社の崖っぷちは、崖から滑り落ちてもなんの怪我もない、またやり直しは出来るので、大きな問題にはならず、だれも記憶に残らないイベントです。そのレベルのことなのです。


でも「知ったつもり」から「細部に渡り理解し説明できる」という状態は、全く違う物である、という実感と、私でも出来た、という達成感はその後のサラリーマン生活で、自分に対しても部下に対してもとても大きなきっかけとなりました。

本当に理解した、という感覚は一生ものとなる


知っている、やっている、継続している、教えられる、教えた。


これらは、皆レベルが違います。そのレベル違いは様々は記事で書かれていますね。


ただ、私が強調したいことは、「本当に理解して教えることが出来た」というレベルは、実際に経験した人のみが分かる肌感覚です。


ですから、若い頃にこの感覚を得ることは、業務を極める、という意味でも大切なことです。

各学習レベルの定着率について


この情報はあくまでも参考ですが・・

アメリカ国立訓練研究所が発表した研究結果によると、各学習レベルでの「学びの定着率」を数字で表したものがあります。

・講義を聞く    5%
・読書する    10%
・視聴覚     20%
・実演説明    30%

・グループ討議  50%
・練習      70%
・他者に教える  90%

という数字があります。

講義を聞く~実演演習までは、主催者が行う受動的は内容であり、

グループ討議以降は、参加者が能動的に対応する内容となっています。

ですから、日々業務を行っていても、ただ、マニュアルを読んで、業務(練習)をしても、それが本当に部下に理解されているか?  は大きな疑問が残りますね。

やはり「先生役」は定着率90%と最強です!



最後に、

部下指導、育成は本当に時間がかかり、個人での学びのスピードも異なります。


ただ、短期育成をするのであれば、先生役を任せることはとても有効です。


そして、これが「分かったつもり」から「本当に理解した」という全く違くレベルまで短期間で引き上げる方法が「先生役」を命じて、部内会議などで説明してもらうことです。



今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


よい1日をお過ごしください。

 

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