特定技能生 4か月で戦力化。日本で働く、期待を背負ったインド人長男

【シリーズ⑫】特定技能でインド人自動車整備メカニックの日本就業へのいきさつをお伝えします。

埼玉県狭山市でインド人2名の特定技能生・自動車整備の受入れ+日々のお世話係をしている谷口です。 

最近は仕事にも慣れ、職場で期待されている人材といわれています(工場長談)。 
4か月で整備点検が2人でできるようになり、チームから信頼を得ています。 
このように頑張る2名を見つつ、「頑張っているな~」とつぶやいています。 

給料の半分以上を送金する彼らの事情

彼らの給与は手取りで16万円前後ですが、毎月10万円以上をインドへ送金しています。 
この彼らの仕送りが、インドに住んでいる家族の様々な出費の原資となっています。 

親御さんは、彼らに投資をしています。

  • 自動車整備の専門学校に2年間通う
  • 6か月間、日本語を習う 

親が子供の教育に投資することは、とても大事な事であると同時に、収入的にも厳しい局面があるそうです。 

つまり、「学校に通う」ということは、 

  1. 学費を支払う 
  2. 学びの期間は働くことができず、一家の収入が途絶える  

ということを意味します。

特に、専門学校卒業後に、自動車整備メカニックとして働き、その後日本語学校に通ったので、「日本語学校で学ぶ期間は、一家としてたくさん節約をして、大変な時期だった」と二人とも私に話します。 

そして今月10万円の送金は、その親への感謝と、

  • 妹の結婚持参金 
  • 自宅購入費用(土地と建物) に使われています。

【結婚持参金について】
インドでは遺産分配という制度がないので、女性は結婚後、遺産分配の対象外となってしまいます。 
そのため、生前贈与ではありませんが、「そのような」意味で、結婚する女性は結婚持参金が必要となります。 

今年5月にPさんの妹さんが結婚予定ですが、持参金はPさんの稼ぎから出るとのこと。 

私が、「せっかく稼いだお金が結婚持参金になるんだね」と言ったら、「これは古い因習なのでしょうがないです。無くなったらいいと思いますよ」とのことです。 

しかし、「ではPさんの結婚式の際は『持参金無しでいいよ』と言ったらいいね」という私に対して「いや、僕の結婚式には、絶対持参金を持ってきてもらいますから!」と。 

インド人男性の本音を聞けた瞬間でした。 

インド結婚式事情

さて、ここで情報提供として「インド結婚式事情」をお伝えします。 

都会と地方で異なる結婚式期間

都会と地方では、派手さ(結婚式の期間)が異なります。 
都会では2~3日程度、地方だと4~5日程度となります。 

この日数は「結婚式」の日数であり、事前準備などは含まれておりません。 

例えば 、

  • 新郎関連で1日 
  • 新婦関連で1日 
  • 地元会社関係で1日  


などが私が参加した都会での結婚式の例です。私は会社関係なので最終日に行きます。

 

招待状とインド時間

招待状はもらいます。
特に、会社上司宛となると大変で、親戚の方がわざわざ会社まで訪ねてきて、手渡しでもらいます。 

これはインドの風習ですが、目上の方(会社では上位職)には丁寧にお渡しすることが礼儀とのこと(でも、本人から手渡しされることもあります)。 

親戚の方が来られた例ですが、結婚式がかなり遠方で車で数時間ではいけない場所だったので、どうするか? と思案していたら、インド人部長さんから「行かなくていいですよ」「我々も招待されましたが誰も行きません。招待状を(上位職に対して)渡すことが大事な行事ですから」とのこと。 

日本とインドの結婚式の招待状の違いに驚きました。 

日本だと、披露宴会場の席数が○○人だから、招待する人を事前に連絡して出欠を確認して、最終的な人数を確認してから、最後に(出席が確実な人に対して)招待状を送りますが、インドでの結婚招待状は、「私結婚します」の意味合いが大きいです。 

ですから、招待状に対して出席・欠席を伝える必要もありません。 

私は「車で片道3時間で行ける場所の結婚式には参加する」という自主ルールを持っていました。なるべくスタッフの結婚式には参加したいと思っていましたが、片道3時間以上だと(運転手さんはいますが)体力的に厳しいので、自主ルールを作りました。 

実際に結婚式に行くと、「インド時間」に悩まされます。

 

お祭りのような雰囲気と日本人の立ち位置

インド人結婚式における日本人の立ち位置は、「私(または、私の息子・娘)の結婚式に、会社の上司の日本人がわざわざ来てくれました」という意味なので、いろいろな人を紹介してもらい、挨拶をします。 

でも、親戚一同を紹介してもらっても、こちらは関係性がわからず…でも、それが仕事の一部と思い、ニコニコしながら挨拶をします。 

結婚式は開始18時となっていますが、インド時間なので、20時頃に披露宴会場に行っても(いつもの通り)結婚式の主役(新郎新婦)はまだ登場していません。 そこで、披露宴式場にある食べ物をつまみます。

式場は屋外の広場に、仮設の舞台を作り、その周りに屋台のような食べ物屋さんが多く並んでいます。 

また入口では、招待状の確認などはしないので、だれでも入場できます。ですから早い時間は近所の子供たちが普段着で遊びに来て、自由にごはんやスイーツを食べて、去っていきます。 近所の警察署からも、警官が大勢来て、ごはんを食べて帰っていきます。 

つまり、結婚式は、その地区でのお祭りのように、自由に来て帰れる場所になっています。 

そろそろ帰ろうか、と思う23時頃にやっと新郎新婦の登場となります。 我々日本人が舞台に呼ばれ、新郎新婦+親戚一同と一緒に写真を撮り、これで我々の役目が終わり、帰ることができます。 

それから3時間の道のりですが、幸い運転手さんがいるので、車中で爆睡して・・ 

インドでは何度も結婚式に参加しましたが、ほぼ上記のパターンであり、いつも帰りは深夜(早朝)でしたが、これも社員との関係性つくりの一貫として積極的に参加していました。 

Pさんの妹さんの結婚式の写真を見るのが楽しみです。 
一家を背負った二人をこれからもサポートしていきます! 

→続き【シリーズ⑬】「多様性に対応する力(CQ)」をマネジメントに活かす

最初から読む【シリーズ①】私のキャリアとインドとの関係の始まり 

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